以前から問題が指摘されていた、無認定で新型出生前診断を実施していた病院が処分されました!!
以下では実際に処分された内容を新聞を抜粋して、さらにテレビ「とくダネ」で以前問題視されていましたので、そちらについても詳しくまとめてあります。
目次
<新型出生前診断>医師3人を処分 日産婦、無認定実施で
まずは、ニュースはこちら↓↓
日本産科婦人科学会(日産婦)は10日の理事会で、男性医師3人を懲戒処分にしたと発表した。妊婦から採取した血液で胎児の異常を調べる新型出生前診断(NIPT)を、指針に反して無認定で実施したことが理由。うち、東京都内の2施設の医師2人は今後指針を守ると約束したため、5段階で最も軽い厳重注意とした。一方、大阪府内の施設の医師は約束しなかったとして、それより1段階重いけん責とした。
NIPTは確定診断ではなく、正しい情報が提供されなければ安易な中絶を助長する恐れがある。遺伝カウンセリング体制が整った日本医学会の認定施設で実施するよう日産婦が指針を定めている。
日産婦の藤井知行(ともゆき)理事長は「NIPTは結果によって重い選択を迫る可能性がある。認可を受けた施設で受けることが本人の幸せにつながる」と述べた。
※毎日新聞より⇒http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161210-00000062-mai-soci
この問題は以前から指摘されていました。
とくダネで以前報道されたガイドライン違反の報道内容
2016年の10月に、フジテレビの「とくダネ」で放送されていた内容を以下まとめています。↓↓
そもそも新型出生前診断とは、妊婦さんの血を採取して、その血を調べることでダウン症などの3種類の染色体異常を調べられる検査ですが確率診断であり確定診断ではありません。
確定診断ではないものの99%という制度を誇ることから(個人に対してではありません)、そのまま確定診断(羊水検査)をせずに中絶という決断をしてしまうかもしれない危険性をはらんでいます。
そのため、新型出生前診断を受けるには、日本医学会が作ったガイドラインをもとに認定されている病院でしか実施できないというのが本来のルールなのですが、そのガイドラインに違反して新型出生前診断を行っている病院があることが問題視されています。
この当時(2016年10月)は、2つの病院で「どう見てもガイドラインに沿わない診断」をしていたようです。
そしてこの2病院を問題視した日本医学会は今度対応を協議するという声明を出していました。
(その対応の結果が今回の報道内容にある処分だったのだと思います。)
テレビでは、「なぜ医学界に逆らってまで新型出生前診断を行っているのか?」を実際に無認定で行っている病院の医師に質問をしていました。
★奥野医師の答え
やりたい人にチャンスを与えるのが医者の仕事の一つと考えている。染色体異常の可能性があればカウンセリングの専門医を紹介している。
★楢崎医師の答え
妊婦さんが、すごい悩まれた後に新型出生前診断を受けたいと思って相談に行っても、採血を受けるまでにかなり時間がかかる。さらに診断結果を受けて本人が判断して動いていってもらうということから考えたらスピード感はすごく大事。(恐らく陽性の場合に確定診断である羊水検査受けたり、中前という道を選ぶ場合に、どちらも週数によってその選択がすでにできない時もあるのでスピード感が必要だということ言いたいのだと思います。)
この2人の医師の「安く手軽に」との主張と、それを大きな問題と指摘する日本医学会や各団体。制度の導入から3年が経ち、出産の不安を抱える妊婦にとって新型出生前診断は不安を和らげるものとなっているのか?
まだまだ倫理的な大きな課題があるんですね。
【ガイドライン違反病院HPより認定された病院との比較表】
認定された病院 | “ガイドライン違反”の病院 | |
総費用 | 最大27万円(羊水検査費を含む) | 169800円(別途羊水検査は約10万~20万) |
年齢制限 | 35歳以上 | 制限なし |
病院独自条件 | 診断する病院での分娩が必須 | 医師からの予約・紹介状が必須などナシ |
採血予約 | 採血までには2~3回のカウンセリングを含めた診察が必要。
予約は数週間~数か月待ち |
最短で翌日の採決が可能 |
無認定での実施に対する専門家の見解
この2つの病院に対して専門家の見解は、「不安を煽るビジネスである。」と弾劾しています。
なぜなら新型出生前診断は、若い妊婦さんにはほとんど必要がない。
さらに、自己決定をするうえで遺伝カウンセリングは非常に重要で、「命の選別」につながるような問題を決定するときに、妊婦さんは正しい情報を知らないといけない。
ところが事前にカウンセリングをしなかったことで正しい情報を得られなければ、自己決定するにあたって何が本当に大切なのかを理解しないまま検査をうけて結果として不安を抱える事になる。
だからこそ遺伝専門医がこの問題に関して抗議をしています。
認定を受けているある病院では、きちんとガイドラインに沿って遺伝カウンセリングをすることで4割の方が検査に進んでいないという事実があります。
これが何を意味するかというと、正しい情報を得た妊婦さんは、おなかの赤ちゃんに対して受け入れられる体制が整うので、診断をする必要がないという自己決定ができたということです。
それに対して、カウンセリングをせず正しい情報のないまま検査だけが独り歩きしていて「どうも一部で不安をあおっているんじゃないか。」という印象を受けます。
さらに、この問題は厚生省が「倫理を守りましょう!!」と通達を出しています。
そのような中、「倫理を守らなくて本当にいいのか」ということが非常に大きな問題です。
その中でも最も大きな問題は、血液検査(新型出生前診断)で陽性という診断結果が出ても、擬陽性と言って「実は問題がないのに問題があると出るケースもある」。逆に陰性と出ても、「問題があるケースもある。」といったように確定診断ではないのに、この段階で中絶をしてしまうという危険性です。
この検査に100%はありません。確率が99%と言っているのも個人に対してではないので、妊婦さんがカウンセリングを受けていない場合、自分で決断するのは大変難しいし、悶々と悩む方もいると思うので、きちんとした遺伝カウンセラーによるカウンセリングを受ける体制を作っておくことは極めて重要です。
ガイドライン違反医師の主張
【奥野幸彦医師】
年齢で線引きはできない。日本は遺伝カウンセラー不足。陽性の患者にだけ手厚いカウンセリングを。
【楢崎幹雄医師】
妊婦の検査は早いほど選択肢が広がる。さっさと済ませたいと考えている人が9割ほどではないか
無認定で新型出生前診断をしていた病院はどこ?
今回の報道である病院と同一かはわかりませんが、とくダネにでていた2人の医師の病院は以下になります。。
奥野病院(大阪府:奥野医師)
花園クリニック(広島県:楢崎医師)